​”揺さぶり死”父親に無罪判決

2020年​2月8日 NHK

3年前の平成29年、東京 町田市で生後1か月の長女を揺さぶって死亡させたとして傷害致死の罪に問われた43歳の父親に対し、東京地方裁判所立川支部は「父親が、揺さぶる暴行を加えたとは認められない」として、無罪判決を言い渡しました。

無罪判決を受けたのは神奈川県の建築業、中馬隼人さん(43)です。
 


中馬さんは、平成29年1月、東京 町田市の自宅で、当時、生後1か月だった長女の頭を揺さぶるなどして脳に損傷を与え、およそ2か月後に死亡させたとして傷害致死の罪に問われました。
 


裁判では、検察側が

 

 

「長女は脳内や網膜が出血しており、強い力で揺さぶられたことが原因だ。母親の入浴中に様子が変わっており、暴行したのは中馬さん以外にありえない」

 

 

として、懲役8年を求刑したのに対して、弁護側は「中馬さんは、過去に一度も虐待したことはなく、暴力は加えていない」と無罪を主張していました。
 


7日の裁判員裁判の判決で、

 

 

「中馬さんが、揺さぶる暴行を加えたと認められる直接的な証拠はなく、本件の前にも何らかの暴力的な行為に及んだ形跡はない」

 

 

と指摘しました。そのうえで

 

 

「複数の医師の証言などを総合的に検討した結果、長女の頭部の損傷は、心臓マッサージの際などに起きた可能性も否定できず、中馬さんが揺さぶったのは間違いないといえるほどの立証はされていない」

 

 

として、無罪を言い渡しました。無罪判決を受けて中馬隼人さんは

 

 

「裁判所に公正な判断をしてもらった。捜査機関が、当初からいろいろな可能性を検討し、慎重に捜査を進めていれば、自分が罪に問われるようなことはなかった。きょうの判決を長女に報告するとともに、日常生活を早く取り戻したい」

 

 

と話していました。

弁護士などで作るグループによりますと「乳幼児揺さぶられ症候群」をめぐっては平成28年以降、全国で少なくとも11件の無罪判決が出ているということです。
 

無罪判決が相次いでいることについて「乳幼児揺さぶられ症候群」をめぐる裁判に詳しい甲南大学法学部の笹倉香奈教授は

 

 

「脳の出血など特徴的な症状を安易に虐待と結びつける今までのやり方が問題だと示している。虐待を見逃してはいけないが、えん罪が生まれるのも許されない。さまざまな証拠を多角的・科学的に検討する姿勢が求められる」

 

 

と話しています。

今回の事件で問題になった「乳幼児揺さぶられ症候群」は、体に比べて頭の比率が大きい赤ちゃんの体が激しく揺さぶられることで、脳が損傷するもので、重い後遺症が残ったり、死亡したりするケースもあります。
 


頭の中の出血や網膜の出血、脳が腫れるといった3つの特徴的な症状があるとされ、日本小児科学会は、こうした場合、虐待の可能性を考えて診断するよう医師に促しています。
 


しかし、虐待以外でも、つかまり立ちからの転倒や低い場所からの転落、分べんなど、他の原因でも起こりうると指摘する専門家もいて、「乳幼児揺さぶられ症候群」と「虐待」の認定をめぐって議論が続いています。

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